徒然博士の日常

体験の言語化や自己啓発用

博士号取得者が修士生に混じって一般企業に就職した話【入社一年目の転職活動③】

転職を真剣に考えてみて、結局残留を決めた話です。

転職辞退理由

私の一個人の話なので、賛否は分かれるところであると思います。
前提として、材料からアッセンブリーや消費者が使う製品にキャリアシフトしていきたい、という思いで研究畑を少し離れて企業に就職しました。
今回の案件は、福利厚生や専門マッチング、上司の有能さなどは非常に良い案件だったのですが、部品メーカーに入社し異分野の大海に出て間もない私には材料研究の世界に戻るという選択を選ぶことができませんでした。
 会社で人脈が広がり、いろいろな自己啓発スキルアップ活動に参加できたというのも残留理由です。

転職活動を振り返り

結局は自分のコア技術しか会社は見てくれないということは痛感しました。
私は磁石の研究をしていましたが、研究室では誘電体や電池なども扱っていたためそこそこの知識はあるのかなと甘い考えを持っていましたが、少しでも磁石から外れると全く相手にしてくれませんでした。

また、転職サイトに良く見かける「第二新卒」というフレーズにも落とし穴があります。
私は、「第二新卒とは」業務や風土のマッチが合わなくなった人のための受け皿という認識でしたが、求人を見てみると3~5年程度のその分野(しかもやたらと具体的な業務)での実績、場合によっちゃプロジェクトリーダー経験なども問われるようなものでした。(そのくせ安月給の場合もあります)
あるいは求人では非常に広い分野の募集をかけておいて、選考に進めると特定の分野しか相手にされないようなものも。
さらには短期離職にそもそもあまり良いイメージを抱いていない企業もあります。

転職活動の後処理

今回の案件ではエージェントQを利用していました。 転職しない旨をQに伝えたときのやたらと噛みつかれたけどなんとか逃げ切れました。

Q「私さん、言うてることがめちゃくちゃじゃないですか」
Q「こっちもA社(転職先)との関係があるのに、今更困ります。」

困るも何も、この前までQは『現社内でも活躍できる場を探すべき』という意見であったのですが、『社内でもやっていく兆しが見えたから転職しない』という説明もむなしく、最後まで納得いっていない様子(あるいはそう見せる態度)で感情論を押してきた、という印象です。

エージェントの収入減は転職先企業から金銭の謝礼です。
謝礼の相場は転職者の給料の3か月分なのだそう。Qからすると「目の前まで来たカモネギ」をやすやすと逃がす手はないのです。
最後はなかなかヒートアップされましたが、なんとか企業へ直接私が謝罪メールを送ることで終息しました。
本来エージェントが入ると企業と応募者が直接連絡を取ることがないのですが、今回は特別だったようです。
注釈ですが、企業側からも辞退理由に納得を頂けましたので、納得していないのはQだけです。
お金が絡む&そもそも技術に詳しくないエージェントだと、こちらの考えが中々伝わりにくい部分もあると思うので、代理人を立てた転職活動はそこが難しいのだと思います。(これらを総合してエージェントの質と言えるのかもしれません。)


転職とは


「いつでも転職できるを武器にする」とは良く言われますが、私も同感です。
なぜなら、私のように配属ガチャで失敗してしまった場合、自分の「キャリアに対する納得感」が極めて低い状態になっているので、 転職を真剣に考えてみた結果として、たとえ現職に残ったとしても転職活動をする前とは上記の「納得感」が全然違います。
「納得感」は自分の考え(=軸)がどれだけ強固であるかを表すものなので、 この「納得感」こそ自分のパフォーマンスを引き出すに非常に重要な要素だと思います。

私の周りには何人か博士課程に進んだ人がいますが、自分の博士の道を見失い病んでしまった人も何人かいるのも現状です。
「なぜ自分はこうなりたいのか」を突き詰めていった答えが現在のキャリアであるはずなので、 これを真剣に考えておくというのは、自分のキャリアに責任を持つということです。
自分で責任を持つならば、今の職場で手を抜くということはできないはず=自分のパフォーマンスが上がることにつながると思います。 (もちろん様々な職場環境で自分のモチベーションは左右されますが)


あと、そこそこ良い転職先が見つかったとして、「転職しなくてもしてもどっちでもいいかな」と思うのであれば転職することをお勧めします。
これは、友人に言われてハッなった「この先転職が当たり前の世界になるから今の内に転職を経験した方が良い」という考えに基づきます。
この考えは、チャラ男が童貞男子に良く言うフレーズを応用したものだと、個人的に思います。
すなわち「本当に好きな人(=会社)が見つかったときに動じないように、だれでもいいから初体験(=初の転職)を済ませておく」

早く転職童貞を卒業したいなと思います。